城内でワンシーン。 …のつもり。 背景もこれで手一杯です。 レンガは SAIのテクスチャを使用しました。 スカサハとリーンの出会い編。 |
「はじめまして」
そう言って俺に話しかけたのは、
先日仲間になった踊り子。
今、ちょうど軍の勝利を祝って踊っていたのだろう。
彼女の仕事着、踊り子の衣装を着ている。
はたから見ると、寒そうな格好だ。
いや、実際に寒いんじゃないかな、とか考える。
…そういう、どうでもいいことを考えないと目のやり場に困る。
「ごめんね、踊ってたら体が熱くって…」
俺の困惑に気がついたのか、
目の前の踊り子はマントをはおる。
…そんなに顔を真っ赤にしていたのかな。
女の子に気を遣わせるなんて、ちょっと失態だ。
「あ、いや、こっちこそごめん」
「ううん」
そう踊り子は微笑む。
「踊り子」という職業からは想像もつかないような優しいほほえみ。
先日の盗賊の女の子といい、
職業による思い込みをしていた自分を恥じる。
「改めて、よろしくね」
そう言って、彼女は右手を出しかけて…
何かに気づいたように微笑んで、
右手を引っ込めて左手を俺に差し出す。
俺の右手は「剣だこ」ができている。
もちろん、左手にも出来てるけど、右手のほうが圧倒的に大きい。
きっと彼女は今の短い間にこれに気がついたんだ。
剣士の中には利き手を封じられるのを嫌うやつが多いっていう話だ。
(俺やラクチェとかはそんなことはないけど、母さんがそうだったっていう話をオイフェさんから聞いたことある)
でも。
目の前の女の子の
小さな気遣いが嬉しくて、温かくて。
彼女の気遣いを無駄にする気はなかったけど、
あえて、
俺は、左手を引っ込めて、右手を出す。
「よろしく、おれはスカサハ」
彼女は一瞬驚いた顔をしたけど、
すぐに笑顔になって、
「私はリーン。踊り子よ」
俺の手を右手で握ぎりかえす。
ほら、
こっちのほうが、
彼女の温もりを感じれる。