コープルとティニー コープルはまめハウスデフォルトの シレジアです。 |
「フリージまで送りますよ」
それは長く辛い戦いが終わってのこと。
戦いは終わったけれども、すべてが終わったわけではありません。。
戦争で荒れてしまった国や苦しんでいる人々を助けなければならない。
わたくしたちにはまだやらなければならないことが残っているのです。
本当はコープル様と一緒にシレジアに行きたかったのだけれども、
フリージを見捨てるわけにもいかない。
本当はアーサーお兄様がお国を継がれればよいのだけれども、
お兄様にも継がなければいけない国がある。
皆さんがお国の復興のために働いておいでるのですもの。
私もお役に立たねばなりません。
だから、コープル様は「送ります」と。
「はい、ありがとうございます…」
わかってはいるのです。
わかってはいるのですが、やはり、想いの通じた相手と
一時的にとはいえ、離れるのはさみしいし不安でもあります。
なにより、
コープル様も初めての土地で知らない人を相手にしなくてはいけない。
そんな大変な時にこそコープル様のお傍でお支えしたいのに、
それができない。
「…やっぱりさみしいものですね。
はやく世界が良くなれば僕たちも一緒に暮らせるようになるんですが」
「…コープル様…」
まるでわたくしの気持ちを代弁してくれているかのようでした。
同じ気持ちでいて下さったことにティニーは大変うれしく思います。
そして、現金なことにこれからのことに前向きに立ち向かっていけそうな気がしました。
「きっと、フリージはセリス様もサーポトなさってくださるから
シレジアよりは復興が早いと思います。
その時は急いでシレジアに向かいます!」
「…ありがとうございます」
そう言ってコープル様は眼を閉じ、
ゆっくりとその瞳を開ける。
そして微笑むの。
「ティニーさん、せめて今だけはゆっくり向かいましょうか」
「はい」
わたくしも、微笑むの。
コープル様もわたくしも、
もう後ろは見ない。
見なくても、背中ごしに貴方の体温が伝わってくる。
その記憶を全身で感じ、覚えます。
次に貴方に会える日まで。